Landreaallとカルバニア物語

「ぱふ」の12月号におがきちか氏のインタビューが掲載されていた。
連載中の「Landreaall」の話は勿論だが、そこで紹介されていた「カルバニア物語」に興味が湧き、既刊の単行本を纏めて購入。
作者はTONO氏。随分前から名前は知っているし、かなり昔に作品もちらっと読んだことはあった。ストーリーテラーのひしめく雑誌「ネムキ」でも連載を持っていたから実力派なのだろうなとは思っていたが、どうもあの少女漫画特有の簡素な絵が苦手で踏み込めずにいた。
いや、反省。しこたま反省。とんでもないストーリーテラーじゃないか。背景もろくに無いような絵なのに、ぐいぐいのめり込んでしまう。これはもはや上質のファンタジー小説ではないか。少女漫画は劇画と違って、作者の興味のある最小限のものだけを絵にする傾向があるが、この作品は極北と云っていい。そしておがきちか氏の作品もどっちかというと、同じ方向性だ。なのに、これらのファンタジー作品は、それらのハンデをものともせず、むしろ武器にしているかのように世界を紡ぎ上げていく。恐るべし。
、であるにも関わらず。この作品が置かれているコーナーは「耽美コミック」いわゆるBL系の場所なのである。漫画はどこもかしこも固定客、マニア客狙いで、特殊なカテゴリへと逃げ込んでいる状態だ。マニアの保守化は文化をどんな場所に誘ってしまうのだろう。
とはいえ、この連載も10年以上に渡っているわけで、良いものが続くのは良いファンがいるからなのかもしれぬなあ、と意外にも楽観できたりもするのだった。