続 SOFT BALLET は本当に早すぎたのか

以前、SOFT BALLETDepeche Mode の強い影響下にあったことと、Depeche Mode の日本での知名度の低さとSOFT BALLETの一般での認知度に関連があるのでは、みたいなことを書いた。

しかし、この話は実は片手落ちである。それは、Depeche Mode の影響を強く感じさせるのは森岡氏のソングライティングと遠藤氏のボーカルスタイルであって、SOFT BALLETの音楽的な中核である藤井氏の事をほぼ語っていないからだ。なぜ語らなかったというと、知っているようでいて実はよく知らない領域の話だからだ。その領域とは EBM である。

EBM の定義についてはWikipediaなどにおまかせするとして、なぜ SOFT BALLETEBM が関係していると言えるのかは、音を聞けば分かるというのもあるし、デビューシングルである「Body To Body」というタイトルからもわかる。これは EBM創始者ともいえるベルギーのグループ、Front 242 の初期シングルの収録曲の名前だ(1981年)。同じなのは曲名だけで全く異なる曲なのだが(そもそも初期Front 242 は、後にEBMを提唱した1988年頃とはかなり異なる音楽性だった。しかし、Electronic 'Body' Music にとって 'Body' とは重要な言葉であることは言うまでもないだろう)、初の音源は謂わば名刺代わりであり、自分らは EBMをやりますよ、という自己紹介に他ならない。

と、偉そうなことを語っているが、自分はつい先日まで EBM について完全に「知った気」になっていたのだ。たとえば EBM の典型的なスタイルは実感出来ていたのだが、その歴史的な経緯を全く知らなかった。つまり、どのように影響しあっていたのか知らなかった。Front 242 と Front Line Assembly が紛らわしいなあと思ってたレベル。しかも、大本の Front 242 をちゃんと聞いていない。

最近になってやっとその辺の情報や音源をまとめ始めて、SOFT BALLET にどのような形で(具体的に)EBMの影響が組み込まれているのかが見えてきた。とはいえまだ感覚的な理解でしかない。FLAの影響は強いけれど、その宗家とも言えるSkinny Puppyの影響はあまり無さそうかなあとか、Front 242 は音作りとかリズムパターンという意味で間接的には影響を受けていそうだがあまり全面には出てきてないかなとか。

かなり乱暴に言うと、特にAlfa時代のSOFT BALLETDepeche Mode と Front Line Assembly の折衷サウンドになっている。もうちょっと具体的に元ネタを掘ってみたいところだが、なんとなく FLAを1年ほど遅れでフォローしている感じなんじゃないかと踏んでいる。で、少なくともMillion Mirrorsまでは FLA の影がちらつく(DMの代わりにSoft Cellっぽい曲があったり)。SOFT BALLET は Million Mirrorsが転機だというイメージがあったが、実は次作の INCUBATE の方なのではないかと思えてきた。