一風堂とBUCK-TICKなど

一風堂(ラーメン店ではなく土屋昌巳率いるバンドの方)を聞いていて、色々と気付いたこと。
このバンドの活動期間は 1979-1984 であり、1970年代末は日本のバンドがNEW WAVEを主にテクノポップの文脈で取り入れ始めた頃。間違いなく日本の音楽シーンの分水嶺に位置するバンドであり、それ故か影響を受けたもの、影響を与えたものがわかりやすいように思える。

1stシングルのB面「DIS-COMMUNICATION」(1979)は、おそらく Kraftwerk の「The Robots」(1978)へのオマージュなのだが、かなり露骨というかパクリ寸前だ。面白いのは Kraftwerk のロボ声(おそらく音声合成ボコーダー)を、エフェクターと宇宙人ボイス(「ワ・レ・ワ・レ・ハ」)で果敢かつ無謀に再現しようとしているところ。

一風堂からの影響を最も感じたのは BUCK-TICKだ。一風堂「ラジオ・ファンタジー」(1981)→BUCK-TICK「FOR DANGEROUS KIDS」(1987) なんかはほぼ間違いなく元ネタ(又は元ネタが同じ)だろう。他にも色々なバンドの空気感を感じることが出来て、頭の中を矢印が過去に未来に飛びまくる。この辺の因果関係を即座に把握できる様になりたいところだが、まあ無理。

Switch の性能について

Switchのスペックについて過去に色々と想像してきたが、大凡の値が判明した。

自分の初期予想では上限512GFLOPS、今時のゲームに必要な性能を確保するために640GFLOPSを上限として性能を上乗せしている可能性も後に考えてみた。結果的には初期予想の方が近く、ドック時が400GFLOPSで携帯時が最高200GFLOPSだった。ちょっと意外というか、携帯時にWiiUと同等以上の性能を持っているだろうということ(正確には、WiiUとのマルチや続編が出ることと、後にZelda BoWのWiiU版をベタ移植した状態で、ほぼ問題ない動作が出来た、という情報)から過去の予想につながったのだが、FLOPSとしては寧ろ下だという事実。これは、予想以上にGPUアーキテクチャの違いによる差異が大きいということか。または、かなりミドルウェアが最適化されている、のかも。

Switch をソフトで紐解く

Switchを購入し、現時点では満足し快調に動作しているのだが、Switchの本体情報にライセンス関連の文書があり、なかなか興味深いのでメモ。

まず、OSはFreeBSDベースらしいことが判明。PS4FreeBSDベースなので、ゲーム機での採用事例が増えた形。OSSのOSでこのようなプロダクトに採用されるのは、自分の観測範囲内では Linux, FreeBSD, NetBSD が多い。Linux はライセンスがGNU v2であるが、非常に幅広く汎用的に使われていることから対応デバイスが多い。そのため、ソースコードの開示を求められる面倒臭さと多様なハードウェアに対応できるメリットを勘案して採用される印象。ゲーム機はハードウェア的にはほぼ固定なので、FreeBSDの方がハードルが低いのだろう。NetBSDアーキテクチャの網羅率が非常に高く、フットプリントが小さいことから、もっと小型で機能を絞ったハードウェア(ネットワーク機器とか)に使われてそう。

ライセンス、というかおそらくパテント表示にImmersion があり、これはハプティクスデバイスのもの。メーカーはわからないが、特許的には Immersion のものを使っているようだ。

動画・音声関連として、H.264, VP8/VP9, vorbis, webm, webp などおなじみのもの。他にも libxml2, cURL, openssl などなど主にインターネット関連で使用されるライブラリや圧縮関連、cairo, Khrnos(OpenGL, Vulkan)などのグラフィックス関連と非常に多様なOSSやソフトウェアが使用されているのがわかる。webブラウザNetFront NX(NXは製品名でSwitchのプロジェクト名とは無関係) で、レンダリングエンジンは Webkit

おそらく Microsoftのような自前でOSを持っている会社以外は、今時のハードウェアにはOSSを採用する事例が多いのだろうなと改めて思わせる。

Switch妄想

取り敢えず予約はしたものの、少し間が有る発売日までちょっとだけ妄想を進めてみる。
まずはスペック。以前の予想で512GFLOPSクラスが上限か、と書いてみたもののTegra X1が512GFLOPS、P1が750GFLOPSクラスということを念頭に書いたものでした。Tegra X1が搭載されている機器でモバイル系のものはGoogle Pixel Cしかなく、これは10インチのハイブリッド型のタブレットです。この時点で、ちょっとSwitchには使いづらいかなというか、実績がないからはっきりは言えないなという感じだったのですが、調べてみるとPixel CのバッテリーはSwitchのおよそ倍の容量でした。しかし、画面サイズは1.6倍、面積比で2.5倍。更にピクセル数は4倍です。実はX1クラスでもありえるのかな..?なんて思っても居ます。実は、今のX1にP世代の上ブレを少し合わせつつ消費電力を抑えて..みたいな感じで、上限512GFLOPSと書いたのですが、元々のX1がいけるならばP1クラスとは行かないまでも、640GFLOPSくらいは上限でいけるのだろうか..?みたいな。それともうひとつは、Unreal Engine 4 の対応やサードパーティ、特にベセスダのようなそれなりにスペックに拘るようなディベロッパとの協力関係を得るためにはそれなりのスペックを有していないと厳しいのでは無いか、という点です。Tegraがどれだけカスタマイズ(たとえばP世代ではバス幅が倍になったので、X世代をベースにそこだけ追加とか)されているのか。NVIDIAはかなり力を入れてそうなので、非常に興味があります。
やはり妄想するにも、今時の3D環境のスペックについての絶対的な知識量が不足しているのを痛感しています。たとえば、ゼルダBotWの据え置きモードは900Pで携帯モードは720Pだという情報。これには幾つかの情報がつまっていると思います。先ずは、据え置きモードで1080Pではないということ。据え置きから携帯で20%のラスターが削減されていること。据え置きで1080Pでは無いということは、ゼルダ級のタイトルでは1080Pは難しいハードウェアだということになります。ちなみにWiiUは720Pになっています。WiiUGPUはおよそ 320GFLOPSくらいなのではないかと考えています。(PS3/XBOX360から+25%) 携帯モードでは同じ解像度で、更にエフェクトなどの描写ではSwitch版の方がより細かいという情報がありますので、(これが携帯モードでも同様ならば)携帯モードでもWiiUより同等か(ゼルダのGamePad側の描画をどのくらいの負荷として考えるかですが)高い性能を持つことになります。当たり前の事では有るかも知れませんが、推測を進める上では重要です。そして、ここは知識が無いのが辛いですがラスターを20%削減することでどのくらいGPU処理が稼げるのだろう?ということです。ざっと調べた感じでは、ラスター数を半分にすると、FPSが2倍から3倍くらいになっていました。サンプルが少ないですが、素人考えではピクセルシェーダの処理が多いものはピクセル数比(この件では4倍)に近づいていくんじゃないかと思っていたので、まあそれなりに納得の行く数字です。ということは、20%のラスター削減で20%〜30%弱くらいの負荷削減になるのかなと。この場合、携帯モードで360GFLOPSくらいで考えたら 430〜480GFLOPSが据え置きモード、ということになります。うーん、何というアバウトな計算。もし上述のように据え置きを640GFLOPSとすると携帯モードは448GFLOPS〜512GFLOPSになります。携帯モードで450GFLOPSかあ...。SHIELD Tabletが360GFLOPSなので、無理そうな値ではないですね。GPUアーキテクチャ自体がWiiUとはかなり違うので、浅知恵ではとても補完できないですが。
視点を少し変えますがサードパーティの協力を得られる体制になったのは、何がポイントなのでしょうか。最低限のスペックや持ち歩きできることも大きいでしょう。他にサードパーティが望む未来とは、そうVRです。しかし、サードパーティは「今」のVRに期待をしているわけではないと思います。つまり、VRに必要なものを探りながらノウハウを貯めていきたい状態なのだと推測します。そこで、Switchがハプティクス機能を搭載したことが大きいのかも知れません。ハプティクス機能は未来のVRで有望なパーツです。サードパーティとしてはSwitch用にハプティクスを試しても未来のノウハウに繋がると歓迎されたのかも知れません。ちなみに現行のSwitchにVR機能を積むことは出来ません。解像度が圧倒的に足りないからです。(ピクセル比で最低3〜4倍は必要です) GearVR的な形状を特許に出願しているのは次期Switchを見据えての事かもしれません。
まあ、とは言え。正直、最先端のAAAクラスのゲームがさらっとマルチ展開出来るようなものでは絶対にありえないので、まずはSwicthがどれだけゲーマーの心を掴むか、更に言えばどの層を掴むかで、ディベロッパの今後の対応は変化はするでしょう。要求の最低限はクリアした。その先はまだまだわかりません。

John Cage の Thirteen Harmonies と Jim O'Rourke の Eureka

去年、似てるなーと気付いたのだが、これって偶然なのだろうか。
Jim O'Rourke なら着想として使っていても不思議はないと思っているのだが。

で、改めて色々調べてみた。Thirteen Harmonies の作曲は 1986年。Eurekaの発表は1999年。まあ、この時系列は思ったとおり。自分が「似ている」と思った Annelie Gahl/Klaus Lang による録音は2010年。この録音は鍵盤楽器として Fender Rhodes が使われており、これが Eureka のイントロと質感が近い事も一因かも知れない。というわけで、Roger Zahab/Eric Moeによる1995年(情報によっては1998年だが、つまりEurekaより前)の録音のものも聞いてみた。こちらは、鍵盤楽器としてPiano、Harpsichord、Organが使われている。作曲されたものであるから、基本的には同じ。自分の感性ではやはり似ていると感じる。鍵盤楽器と弦楽器による非常に簡素な楽曲なのだが、両者の音列の絡みから Eureka のメロディーが立ち上がってくる(と感じる)。果たして関連は有るのだろうか。もし、有ったら嬉しいなあ。

ちなみに、去年気付いたものでもうひとつが、ロス五輪の開会テーマ(作曲は John Williams。該当箇所はファンファーレ直後のパート)とイシターの復活のメインテーマ。これは明確に着想にしてるだろうなあ。ロス五輪が1984年、イシターの復活が1986年。どんだけ長い間気づかなかったんだ俺、とも思うのだが、ファンファーレの後のパートをはっきり覚えていられるような音感は無いのだ。

Switch 考察 反省会

とりあえず、PDCAを回すつもりで(Aなんて何も出来ないが) Switchへの考察についてのどこまで正しかったかを確認してみる。
しかし、任天堂は詳細な仕様をを明かすことを避ける傾向にあるので特に「スペック」の項目については今回の発表会だけでは答え合わせ出来る段階にはない。タッチパネルについては、「ついてましたね」位のもので正直前回のものは予想でも何でも無いというか、滑稽な妄想を振りほどいて妥当な解を選んだだけなので特に何もなし。
振動ユニットに関しては、かなり最近のリークだけあってかなり正しかったものの、ミライセンスの技術を使っているかどうかは不明。技術ライセンスを受けてサブセット的なものを実装したのかも知れないし、全く独自で用意したものかもしれない。今のところミライセンス社からのアナウンスは無いので来週にはその辺の答えが見えてくるかも。こういう技術採用のアナウンスは発表の時期とは合わない時もあるので(3DSのPICAも見なおしてみると特に本体発表の時期と合わせてみた感じは見受けられなかった)、暫く様子を見なければわからないかも知れないが、4gamerの記事にアルプス電気による同様の製品を採用したのではないか、という予想もあった。記事をみると、そちらの予想のほうが正しく思えてくる。さきほどミライセンスならサブセット、と記述したが、HD振動はミライセンス社のプレゼンに出てくるものほどの表現力は持っていないのでは無いか、と思うからだ。逆に、そこまでやる必要も無いというか、本体やグリップに接続されることが多いことを考慮すると、動作環境を一定に保てない状況でそこま多様な表現力のものを搭載しても効果が発揮できない、とも考えられる。まあ、アルプス電気のものとミライセンスのものでどのくらい違うか比較できないのではっきりわからないが、ミライセンスのプレゼンにある斥力などの感触までは無いんじゃないかなーと思っている。※後日、振動ユニットはimmersion社によるものと発表。なるほど、色々な会社が手を出している分野なんですなあ。因みに、appleを特許侵害で訴えていたりもします。(おそらくTaptic Engine)
価格については、なるほど、良い線ではないだろうか。25000円では無理。しかし、30000円は切りたい。自分はそこで、機能を削ったり最適化して何とか25000円に近づける方向だと考えたのだが、予想以上にJoy-Conに詰め込んできたな、という印象。機能を削ったのはコントローラのドック(と記述していたが正しくはJoy-Con グリップ)の充電機能、というのは意外だった。充電型のものをオプションにして 29980円というのは、もしかするとこれでやっと30000円を切ることが出来たのかな、とすら思える。
さて価格についての内訳を見ていこう。単体発売は利益分を上積みしていると思われるので、あくまで価格比で見てみる。Joy-Con 単体で 3740円(2個セット 7480円なので)、ドック 6000円(単体からACアダプタの値段を引いたもの。HDMIケーブルは誤差ということで)、Joy-Con グリップ 不明だが充電機能付きが2480円なので 1480円くらい? 予想と比べるとドックをかなり安く見積もっていた事が分かる。それ以外は凡そあっているのだろうか。今になって考えてみると、ドック=USBハブだと考えていたのは正しかったのだが、USB-Cで全てのI/O、つまり映像/音声も含めて通信することに気づいておくべきだった。つまり USB 3.1 相当なのだろう。USB 3.1対応でディスプレイ出力も行えるようなUSBハブはまだまだ高い。その辺のコスト計算が甘かったということか。あと、コスト計算に(HDMIケーブルは誤差だとしても)ACアダプタを含めていなかったのは流石に片手落ち。ディスプレイが6.2インチというのも実は予想を外していて 7:3 で 7インチ推し(6.2インチも予想には入れてたのだが..)だった。それでも機能を削って25000円に近づけてくる、と予想していたのだが、機能はてんこもりでギリギリ30000円を切る設定にしたというのは、なんというか、任天堂の意気込みを感じるところだ。
全体を通してみると、Joy-Conへの意気込みに関してはそれなりに予想に近いものだったので、ちょっとだけ嬉しい。

Nintendo Switch 詳細発表の前に

以前、妄想を垂れ流しましたが、他の人はどう考えているのか?と思って、ちょっとだけ調べてみました。意見は様々で辛辣なものから好意的なものまで幅広くあります。自分はどちらかというと好意的な方なので、否定的な意見には首肯出来ないものも多くありましたが、そのような意見が「ある」ということは重要です。
否定的な意見の中に「携帯機と据置機のハイブリッド機能なんて要らない」というものがあります。面白いことに肯定的な意見で多いのも同じ視点を逆にしたものです。携帯機のマーケットと据置機のマーケットを統合したい、という考えは確かにある程度は任天堂の都合でもありますし、そんな都合とユーザーの希望はそう簡単には合致しません。しかし、「そのようなユーザーの希望はちゃんと一定数存在した」ことがはっきりしたのは収穫です。WiiUでは家庭内限定でゲーム画面を持ち運べるだけのものだったために結果には結びつかなかったことを考えると、ちゃんとWiiUの延長線上にSwitchがあると感じ取れます。問題は、それがちゃんと市場を作るほどに充分なニーズを持つか、ということです。
自分なりに分析すると、キーワードは「分離」です。今のゲーム業界は過度に分離しすぎているのです。昔ながらのPCゲーム、アーケードゲーム、据置コンシューマに加えて、携帯コンシューマ、スマートフォンVRがプレーヤーに加わっています。全部それぞれやればいいじゃない、と言うにはあまりにも多くなりすぎてしまいました。譬えばPCゲームではSteamが一つの答えを示しています。PCゲーム界の中だけではありますが、バラバラだったPCゲーム界を統合し、より簡単/便利にPCゲームを遊べる環境を作り上げ成功しています。つまり、分離したものを統合することにも市場性はあるのです。当たり前ですが。
では携帯/据置コンシューマの統合にも市場性があるのではないか、そして今はそれが出来るのではないか。任天堂のIPはそれに適しているのではないか。更に言えば、他社のIPにもそれを望んでいるものがあるのではないか。PS Vitaが(特に海外で)それほど成功しなかったことが反証になってしまうかもしれません。しかし、それはWiiUと同様に中途半端だったからではないか。
こうやって考えてみると、Switchの成功を測るものさしは海外のマーケットにあるように思えます。携帯機が衰退している海外マーケットで本当に求められている携帯機はSwitchのようなものなのではないか。それが間違いなのであれば、Switchの大きな成功は無いように思えます。
つまり日本人である自分の考えや感性はSwitchの行く末の想像には何の役にも立たないってことだな! という結論か。
それはさておき、流れ的にSwitchの競合と考えられているのがVRだと感じていますが、VRは過度に持ち上げられすぎる傾向にあります(過去のVirtual Realityも同様)。もちろんVR史上では過去最大のムーブメントにはなると思いますが現状のハードウェアでは間違いなく頭打ちになると思っています。だって大げさすぎるので。VR/ARそしてMRがもっと苦もなく実現できて、更に容易に「共有」出来ないと広がることは無いでしょう。そうなるとVRに対する投資を回収できるようなマーケットは存在できません。では、投資がもっと少くなくて済むものに活路があるのでしょうか。つまり金のかかる「オープン」ではなく「クローズ」な世界のゲームが主流になる、もしくは容易にVRに適用できる既存のIPを使うという選択肢です。これはあるかもしれません。今のVR市場にゲーム側が「合わせる」わけです。(「合わせざるを得ない」ことになるのかもしれないですが) ともあれ、これまで喧伝してしまった以上、それなりの織り合わせを付けて何とかプレーヤーとして市場に残り続けてくれないかな、という気持ちではあります。
(しかし、既存のIPってそう簡単にVR化できるのでしょうか。FPSはなんとかなるものが多そうですが、ユーザーはそれを望んでるのでしょうか。現状のVRって「個人的な体験」に帰着するものだと思うのですが、それって世の中の趨勢にマッチしているのでしょうか?過度な共有に対する反発としてはありかもしれませんが、そんなに大げさなものでしょうか。不安は広がるばかりです。明るい未来を無理に想像とするならe-Sportsでの成功です。VRでプレーしている(リアルな)プレーヤーをかっこ良く感じ、ゲーム内の世界を観客の視点で共有できるならば、ゲームのジャンルを限定はしますが一定の市場を獲得することも夢ではない..?)